そして、「まぁ、ただの隔世遺伝なんだけどな」なんて少し恥ずかしそうにしながら、トウマさんは言った。

私がジッと目を見ている事、それをトウマさんは気付いていた。灰色はトウマさんの色。そしてその傍に居る私…そのイメージを、トウマさんはどんな気持ちでしていたのだろう。そこにどんな想いが隠れていたのだろう。


「…だから、君は君で居てくれれば、俺はそれでいいんだ。君が君としてそこに居てくれれば、それでいい。君の思うように生きて、それを遠くから見守っていけるなら。それが元からあった想いで、それが全てーーそうだった、はずなんだ」

「…はず、ですか?」


トウマさんの想いが明らかになる予感がする。すると、不安な気持ちが徐々に押し寄せてくる。

話して欲しい、でも聞きたくない。もしそれが…悪いイメージが的中してしまったら。そう思うとつい身体に力が入ってしまう。つい彼から目を、耳を逸らしてしまいたくなる。…でも、


「…サエ、聞いてくれるか?」


その言葉がーー彼の視線が、私をそこに引き止める。