「君は君という存在の在り方を、いつも探していた。与えられた環境の中での自分という存在を理解して、そこでの在り方を探す事をいつも捨てなかった。だから君は、そこに居る。圧倒的な闇の中でも、それでも君はそこで自分という存在をかけて戦っている。だからそんな君に俺は、新しい色が見えたんだ」
「…新しい色」
「そう。それは、他の色を消し去る事で映える色じゃない。他の色の中でいて見えてくる色の事だって、君を見て分かった」
「……」
「黒の中での君、白の中での君。それが極端であればあるほど見えてくる。だから…俺の服は黒と白。君も見ただろう?」
「…はい。その時ナツキさんに、それは私の色だと教えて貰いました。だから始めの頃の暗い私から変わっていく様子を表しているのだと、そう伺って…だから黒と白と、間に灰色があるんですよね?」
「…そうだな。君をイメージしているからその時その時の君に近い色、だから君の色、そういう事になる。…でも、俺としてはそれは君の周りの環境の色でもあるかな。黒の中にいれば黒くなる。その中でどう自分を表すか、それが新しい色を作る、そう思ったから」
「そうですか…」
「そう。だから灰色もあるんだ」
「え?」
「灰色は、俺のイメージでもある。俺の傍に居る君をイメージして…ほら、君は俺の目をジッと見る事が多いから」