「ずっと探してた。でも、誰もそれを求めようとはしなくて、認めようともしない。だからそれを求める俺の言葉も、存在も、ここでは無意味なものだと思った。ここにいる限り、俺という存在は変わっていくしかない。今の俺を諦めるしかない、そう思うようになると、俺はだんだん自分の世界に籠りたいと思うようになった」


…それは、聞き覚えのある言葉だった。


『ーー自分の世界に籠りたいんだ』


それは確かにあの頃、フードを被っていたあの頃のトウマさんが、私に教えてくれた理由。

何故フードを被るのかと尋ねた私に、彼はそれを外の世界との境界線だと言った。


「自分を守りたいと、思ったんだと思う」


私が何かに気づいたと、トウマさんには分かったのだろう。自嘲的な微笑みを浮かべたトウマさんが私に告げる。


「たとえ受け入れられなくても自分を諦める事は出来なくて、結果、自分と周りを思考の中で断絶しようとした。自分にしか分からないのなら、そんな外の世界は無意味だと。必要の無いものだと思う事で、自分を守ろうとしたんだ」