…あの時だって、トウマさんが居なくなったらと思うと不安で、トウマさんから離れていると暗い気持ちに取り憑かれてしまうから、だから夜は眠れなくてトウマさんの元へといっていた。…でもそんな事を本人に言える訳も無くて、それにトウマさんも私に尋ねてくる事も無かった。だからそのまま日々は続いて、誕生日を境に、私の気持ちの変化と共にそれは無くなった。それに対してトウマさんが何かを感じているなんて、私は思いもしなかった。


「それもきっと、全部ナツキのおかげなんだろうと思う。ナツキはそういう事には敏感だから、君の事をよく気にかけてる。だから君も話しやすいんだろうと思うし、君が変わったのもきっと…、」

「?」

「…いや、なんでも無い」

「…え?」

「なんでも無いんだ、気にしないでくれ」


急に口を閉ざしたトウマさんはそう言って、そのまま言葉は謝罪へと繋がった。何を語るでも無く一言、「ごめん」と私に告げたのだ。

その時の彼は、とても寂しそうな…悲しそうな表情で、ふわりと微笑んでいた。それはまるでーー何かを諦めたかのように。


…なんでだろう。


そんな彼を見て、私は思う。



なんでいつも、こうなんだろう。