今日は登校してからずっとそうだ。何の話だろうと思ってチラリと見ると、雑誌を手にしたクラスメイトがこちらを見ている。


…なんで?


理解不能なその現象。何度も見比べては「本当だ!」なんて言って、驚いている。それからは一日中ずっと、色んな学校の女子生徒にあからさまに見られていて、視線の答えはもしやそれじゃないかと、学校帰りにコンビニに立ち寄ってみる事にした。

出たばかりなのか、一番前に並べられていた彼女らが持っていたものと同じ表紙の雑誌。ペラペラと捲ってみて…すぐの事だった。両面使った2ページ分、そこにその理由はあった。


「!」


慌てて閉じたその雑誌。そしてすぐに棚へと戻し、私は走って帰路につく。とにかく急がなければ!急いで問い詰めなければ!と、私は絶対そうだと確信する犯人を思い浮かべて走り続け、家に着く頃には私の中の最速記録を樹立する程だった。

そして、勢い良く玄関のドアを開いた私はドタドタとリビングへと足を進め、ドアを開けるや否や「ナツキさんっ‼︎ 」と、そこに居るはずの犯人の名前を口にする。……が。


「…おかえり」


そこにあったのは、何故かナツキさん…では無く、物凄くもの言いたげなトウマさんの姿だった。