もしトウマさんと出会う事が無かったら。私はきっとこんな私を知らなかった…いや、こんな私になれる事も無かっただろうと思う。これはトウマさんだからこそ、出来た事。トウマさんと出会えたからこそ、起きた奇跡。


「トウマさんは…本当に、すごいです」


もう一度、私はしみじみと感じるその想いを口にした。するとナツキさんは、「そうだな」と頷いてくれた。


「トウマさんはすごい。…でも、あんたもすごいと思うよ」

「…え?」

「だってさ、トウマさんに答えまで辿りつかせたのはあんたなんだから。だから俺はあんたに会ってみたいと思って、こっそり調べて会いに行ったんだ」

「…ん?それってもしかして、初めて会った時の事ですか?」

「そ。本当は首突っ込むなって釘さされてたんだけど、もうどうしてもと思ってさ。だからトウマさんにバレないように俺の名前は言うなって言ったのに…すぐバラすんだもんなぁ、本当。相当言われたんだからなあの後」


そう言って、じとーっとした視線で私を睨むナツキさんに、私は思わず苦笑いを浮かべた。