「桃、外行こう。」

こうちゃんは私の手をとって、玄関に向かった。

「あらまあ。幸太ったら!桃ちゃん、また来てね!」

鈴香さんがニコニコ笑いながら見送ってくれた。

外に出るとこうちゃんはそのまま歩き始めた。

どこに行くんだろう…

こうちゃんは黙ったまま、どんどん歩いて行く。

いつもなら私の歩調に合わせてゆっくり歩いてくれるのに。

今日のこうちゃん、少し変だ。

やっと江ちゃんの足が止まったのは、小さい頃よく遊んだ公園。

「座ろうか。」

こうちゃんはベンチに座って。

私は遠慮がちにその隣りに座った。

どうしよう、言わなきゃ。

早く、言わなきゃ。

「あのね、こうちゃん、私…」

見上げたこうちゃんは、いつもと同じ、優しい顔で。

私、今から言うんだ。

傷つけちゃうかもしれない、だけど、大切な存在だからこそ、中途半端にはしておけない。

「私は、こうちゃんと付き合えない。ごめんなさい…」