そう、実は私、副部長になった。

部長、副部長、セクションリーダー、いわゆるコンミス、副コンミスは先輩たちが話し合いで決める。

そして今日、その発表があったんだけど、なんと私は二人いる副部長のうち、一人に選ばれてしまったのだ。

こんな言い方したら、まるで外れくじみたいだけど、正直言って不安しかない。

だってなんで私がって感じなんだもん。

低音パートのパートリーダーだけでも手一杯なのに、副部長なんて私なんかがやっていけるのかな。

それに、もう一人の副部長はアルトサックスの速水君。

速水君はサックスがすごくうまくて、いつも自信に満ち溢れている感じがする。

ネガティブな私とは正反対だ。

サックスのうまさに加え、顔立ちも整っているからすごくもててるみたい。

夏休みの合宿の夜、部屋でみんなが恋話をし始めたとき、まっさきに出たのが速水君の名前。

「内宮、よろしく!」

速水君がにっこり笑った。