「桃はさ、幸太君のことどう思ってるの?」

どうって…

「こうちゃんは私のお兄ちゃんみたいな存在だよ。いっつも助けてもらってばっかりだもん。」

私もそろそろ、こうちゃんばかりに迷惑かけてられないんだけど、優しいからついつい甘えちゃうんだ。

「はぁ…こりゃダメだ。」

ちいちゃん、どうしたの?

そんなに大きなため息ついちゃって。


放課後、ちいちゃんは今日は委員会だから私は一人で音楽室に向かっている。

まだだいぶ早い時間だから、誰も来てないかも。

久しぶりの一番乗りかな。

鍵開いてなかったら職員室に取りに行かなきゃね。

そう思ってたのに、私が手をかけると音楽室のドアは簡単に開いた。

もう来ている人がいるんだ!

まだホームルーム終わったばかりなのに、早いな!

だけど中からは音はしない。

誰がいるんだろう?

準備室に入って行くと、そこにある机に誰かが突っ伏していた。

この少し茶色っぽい猫毛の髪は…