「内宮、桃先輩?」

そう言うと、勇成はスッキリした顔で頷いた。

「そうそう!桃先輩!」

てことは、俺は失恋決定?

まだ始まったばかりの恋なのに!?

告白もしてないのに!?

「どうした?瞬。」

何も知らない勇成はのんきにメロンパンをむさぼる。

どうもこうも、桃先輩に彼氏がいたなんて、どうして予想できなかった!?

あんだけ可愛いんだ。

彼氏がいたっておかしくない。

きっと学年でももてているであろう桃先輩に彼氏。

全然おかしくないじゃねえか!

それに相手は俺なんかじゃ全然勝ち目のない、星野先輩。

ルックスも、スタイルも、身長も、何もかも負けている。

「ラブラブだよな、毎日一緒に帰ってるし、家が向かいの幼なじみらしいよ!」

家が向かい、幼なじみ…

なんだよ、そのまるで絵に描いたようなシチュエーション。

だけど諦められない。

まだ俺の恋は終れない。

いいや、終わらせない!!

今までだって好きな子はいたけどこんなに本気になったのは初めてなんだ。

だから絶対に終れない。