「我慢出来なかったんだよ。泣きそうな顔してんのが…。
それなのに、彼氏を庇ってさ、私が悪いんだって言うんだ。
彼氏にケガさせれたんだぞ!?庇う意味がわかんねーじゃん。」


メイカちゃんは、
手当てしている手を止めた。


「俺、そんな雫ちゃんにムカついて、何もできねえ自分にもムカつくんだ。
ねえ、雫ちゃんの彼氏にケガさせられたのって昨日が初めてなの?
教えてよ!!」


俺がそう言うと、メイカちゃんは静かに口を開いた。


「多分初めてじゃない。
雫、アタシにも言わないけど、青アザ作ってくることよくあるから。」


「そうなの!?
許せねえ。メイカちゃん前から知ってたんだよな!?何で別れさせねーんだよ!何で黙ってんだよ!
わけわかんねーよ。」


やっぱり雫ちゃんは、
あの男からDVを受けていた。


一旦引いた怒りがまた込み上げてきた。


「落ち着いて。
アタシが言ったところで、雫は聞かないよ。
雫が愛してるって言う以上どうにもならないんだよ。」


「どうして、そんなやつ…殴るやつなんかと居たって辛いだけじゃん。」


「秀さんが変わったのは、ある事があってからなんだ。雫は悪くないのに、雫は私のせいだって責任感じてる。
だから、雫は壊れたんだ。秀さんを心配させないように、雫ばかり我慢して。
こんなの間違いだってアタシも気づいてる。
でもさ、秀さんと雫を会わせたのはアタシだから。」


もうどうにもならないんだとメイカちゃんは悲しそうに言った。