どうして迷ったりしたんだろう。
どうして信じてあげられなかったんだろう。


この人はこんなにも純粋で
こんなにも真っ直ぐで一途なのに……



「えい…たっ……
 瑛太っ……瑛太っ……」



あたしはただ、彼の名前を呼んで泣き続けた。



人の目とか
周りの声とか

そんなのはもう気にならなかった。


今はただ、瑛太の想いにだけに応えたくて、
この腕にしがみつくことで、自分の中の恐怖が浄化されて、


この温もりを
ずっと感じていたいと思った。





「………くだらねぇ」



後ろからふと聞こえた拓先輩の声。

ビクッと肩を震わせ、恐る恐る振り返った先には
ため息を吐き、目を伏せる拓先輩がいた。