美千流Side



部屋の窓の外からは、可愛らしい小鳥たちのさえずり。



背中に温かみを感じて、ぬくぬくと温かい方に寝返りをうつ。



すると温かみが増して、爽やかなシトラスの香り。



ちょうどイイ温度で、余計に眠気が強くなった。



シトラスの匂いのする方に擦り寄る。



すると温かく滑らかな肌触り。
人肌みたいで不思議に思うけど、瞼が重くて開かない。



心地良い温もりに、良い香り……




眠くて…
眠くて…
たまらない……




なぜか自分の体に少し重みがある。
温もりに包み込まれるような……
そう感じても瞼は重くて閉じたまま。



また深い眠りに入る時、大きな声が下から聞こえて来た。



「チル、朝だから早く起きなさぁーい!!」



そうママの怒鳴り声が下から響き渡る。



あたしは渋々、目を開ける。
すると……視界に入るのは男の人の胸板!!?



あたしはパチパチと瞬きして、相手を確認しようと見上げる。



顔を確認したら雷ちゃん!!!



気持ち良さそうに寝息をたてながら、雷ちゃんが眠ってる。



あたしはビックリして、その顔を見詰めてた。
さらさらな黒髪。
長い睫毛で女の子からしたら羨ましいくらい。


眠ってるから瞳が見れないけど、黒い瞳は見詰められたら吸い込まれそう。


凄く整ってる顔で見惚れるのは無理ない。
女の子なら誰もが見詰めてしまう。



さっきのママの怒鳴り声を思い出し、あたしは体を起こそうとした。



起こそうとしてるのに……体が動かない。



あたしの体を覆うように、雷ちゃんの体がくっついてる。



良く眠ってるから可愛そうだし、起こさないようにベッドから抜け出したいのに無理!!



ガッチリと体を包まれてるし。



抜け出そうと試みるけど………時間だけが経過してく。



そうこうしてる内に、部屋の近くの階段を上がってくる足音が聞こえてきた。



ヤバイ!!!!!



階段を上がりきって、あたしの部屋の前で足音が止まる。



そして部屋のドアは、ノックもされずに開かれた。



部屋に入ったママは、掛け布団を引っぺがして「起きなさいっ!!」って怒鳴った。



その怒鳴り声にビクッとする体。



雷ちゃんはママの怒鳴り声で目覚めたらしく、あたしの体を解放してくれた。



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