美月はあの時のことを思い出したみたいで不思議な、複雑な心境を表した顔をしていた。
「思い出した。本当にこの場所??この海なの??あの頃のあたしには陽先輩が全てだった…。」
美月にいきなりこんなことを言われて、ビックリしたけれどやっぱり嬉しかった。
美月は言葉を続けて、
「あの頃、あたしが唯一信じられた人は、陽先輩しかいなかったー…ッ!!先輩が突然目の前からいなくなってあたしは誰も信じられる人がいなくなった…。
本当に陽先輩が帰って来てくれてよかった…
もぅいなくならないよねー…??」
この言葉を聞いたとき、俺の心の中には美月を置いて留学をしたことに大きな後悔と、弱い部分を美月が見せてくれたことに愛しさが一気に溢れた。
次の瞬間には、美月を抱きしめていた。
.