拓海は目を開けた。


やわらかい風が腕にあたる。
いったり、きたり。

あ、扇風機だ。


拓海は身体を横に向けた。
視線の先に姿見がある。
白いシーツの中に自分がいた。
むき出しの腕が見える。


あれ、ここどこだろう。


拓海は顔を動かして、部屋を見回した。


薄い緑のレースカーテン。
太陽の光が透けている。
その横にシンプルな化粧台。
姿見。
コートハンガーには、クリーム色のカーディガンがかかっている。

視線を床に移すと、脱ぎ捨てられた自分のブルーのシャツに黒いデニム。


それから、下着。


拓海ははっとして起き上がる。
シーツをめくって確認した。


はいてない。


拓海が慌てて振り返ると、女の子が寝ていた。
柔らかなウェーブヘア。
壁を向いて、丸くなっている。
細い肩が呼吸とともに動いている。


だ、誰?


拓海は彼女を起こさないように、そっと顔を覗き込んだ。


ゆき先生だ!