二次会の会場に入ると、幸せな音楽が流れる。
受付には色とりどりの風船がかざられ、ウェルカムボードに友達とそのご主人の写真が飾られていた。


「ななこおー」
理沙が小走りで駆け寄り、思わず互いに抱き合った。

「久しぶり」

「ほんと、久しぶりー」
奈々子は笑顔でこたえた。

「何年ぶり? えっと、卒業以来だから、五年とか?」

「うん、そうだよ。変わらないねえ、理沙」
奈々子はブルーのワンピースにウェーブのかかった髪をアップにした理沙を見て、そう言った。

「そう? やだ、ありがとう。うれしい。奈々子は、きれいになったじゃん」

「お世辞うまいんだから」

「ちがうちがう。ほんと、きれいになった。専門のときは、田舎から出てきましたって感じの女の子だったし。へへ、ごめんね。でも今は、おしゃれになって、本当にきれい。肌もきれいになったじゃん」

「これね。皮膚科にいったんだ」

「ええ? やっぱり、いい?」

「自己流でいろいろ化粧品変えるよりも、よかったよ。でも理沙は肌トラブルないじゃない? 行く必要ないよ」

「それが歳とともにさあ。わかるでしょう?」

「歳のことを言っちゃだめだよ」奈々子は笑ってかえした。

「典子もさあ、とうとう結婚しちゃったね」理沙はいたずらっ子のような笑みを浮かべた。

「うん」

「落ち着いたんだね」

「しぃ。声おおきいよ」
奈々子は理沙の口に手をあてた。

「旦那様見た?」

「写真で」

「いい男だよね」
理沙が言う。


奈々子は結城の顔が脳裏にちらついたが
「うん」
と頷いた。