風を切って走るバイク・・。




私はぎゅっと目を閉じて、前から来る強風に耐えながら、
金髪さんの背中に必死にしがみついていた。





信号が赤になってバイクが止まった。



「大丈夫か?お前..」


「だ、大丈夫じゃ・・ないです。」



「何だそれ。しっかり掴まっとけよ」


そう言って金髪さんは軟らかい笑顔を見せた。




そして、またバイクは走り出した。





何だかんだ心配してくれるんだ・・。


見た目奇抜でちょっと怖いのに・・。

以外と優しい人なんだな・・・。



なんかさっきは変質者とか思ってごめんなさい・・。



そんな事を心の中で呟いて、私はまた金髪さんにしがみつく腕に少しだけ力を込めた。




人の温もりってこんなに温かかったんだ。


久しぶりに触れたら、なんだかまた涙が出そうになっちゃった・・。




それをグッと堪えて、金髪さんの背中に頭をくっ付ける・・。




ドクンッ..ドクンッ..



一定のリズムで聞こえる音が心地いい・・。



そう思うと同時に、胸の奥のほうに沈んでいた感情が湧き上がるような感覚に襲われた・・。




それはまるで金髪さんの温度で私の心を覆っていた氷のように固く冷たい何かがゆっくりと溶けていくようで、


その感覚に思わず鳥肌が立つ・・。



その温かさはやがて全身に広がって、




私の体温と混ざり合っていった・・・。