すると突然、
ぎゅっ...
私の体は大きくて暖かい何かに
包まれた。
「何っ・・してるんですか・・」
いつの間にか、私は金髪男の
腕の中に居た・・。
「離してっ・・」
「嫌だ」
しゃくりあげながら抵抗すると、
男はさらに抱きしめる力を強めてくる。
「離してってば!」
「泣きたいんだろ?
俺の胸かしてやるよ」
「要らないですそんなのっ!
いいから離してっ・・」
「そんなのって・・。酷えな」
男はそう言ってクスクスと笑っている。
なんなんだこの人・・。
人の話全然聞いてないんですけど・・。
ジタバタしても一向に離してくれな
さそうなので、諦めた。
「おっ、少しは落ち着いたか・・?」
「はい・・。」
頭上から聞こえる声に、小さく返事をする。
いつの間にか涙は止まっていた。
仄かに香る煙草の匂いと、
甘い香水の匂い・・。
暖かい温もりに包まれて、
何故か安心感さえ感じていた・・。