私は全速力で走った・・。
空き教室での浮気を見てから
ただひたすらに、何も考えずに。
いつの間にかオレンジ色だった空は、
夜の闇に染まっていた。
辿り着いたのは何処かも分からない
繁華街にある建物の屋上。
まだ肩で息をしながら、屋上の端まで行く
と、夜とは思えないほどに明るい町が見渡
せた・・。
ふと、さっきの光景が目に浮かぶ。
だけど、涙なんて流れなかった。
彼の事が好きじゃなかったわけじゃない。
ただ、気づいていただけ。
彼は私の体とお金にしか興味がなかったことに。
「馬鹿みたい・・。」
結局みんな同じだった・・。
誰も私を見てくれない。
何処にも私の居場所なんてないんだ。
それならもう、死んでしまいたい。
こんな世界から、はやく消えてしまいたい。
私は両手を広げ、硬く目を閉じた。
そして、体の重心を前へと掛ける。
落ちる・・。
そう思ったとき、私は意識を手放した。