でもかなたは気づいた訳じゃない様子。
でも………
でも………
なんかこっち来るんだけど………
「みく、その角度のシュート苦手だよな。」
そういって私の後ろに立って教えてくれる…………
かなたの教え方は意外に優しくて驚いた。
「ねぇねぇ、かなたくん。みくだけじゃなくってあたしにも教えてぇ?」
かなたが私に教えてくれていたら
女バスの他の女の子がやってきた。
「あ?俺が教えるのはみくだけだ。他の女はくんじゃねぇ。」
またもや
かなたらしくない発言。
「かなた、どうしちゃったの?それは酷いよ!言い過ぎだよ!!」
驚いた表情と切なそうな感情が入り混じった表情をした彼女を尻目に
かなたに向かって言った。
この子だってかなたが好きなんだ。
恋してるんだよ?
そんな言い方ないじゃない。
私がそう言ったら
驚いた様な顔して振り向くかなた。
眉を潜めてちょっと切なそうな顔をして…………
なんでそんな顔するの………?
「もう………いい!」
言い捨てる様に男バスの方へ戻っていく………
なんなの……………
家に帰って今日の事を思い出しながら着替えた。
ブラウスのボタンを外して、
脱ごうとしたその時ーーーー
「みく!」
バタバタと入ってくるかなた。
「え?」
「あ……」
こんな時に入ってくるか、普通。
それでも
かなたはズカズカと部屋に上がり………
ふわっ……………
え?
私 、今 かなたにだきしめられてる……?
「ちょ、ちよ、かなた?」
「ん?」
「なに?どうなってんの!!」
思わず叱咤してしまう私。
「抱きしめてる。」
「抱きしめてるって………それよりかなた、今日どうしたの!女の子に冷たすぎ!かわいそうじゃな……………」
「俺!!!」
言いかけてる言葉をかなたに遮られた
「俺、昨日好きな子だけに優しくするって言ったよな?だけど、全然気付いてくれないんだ……」
抱きしめ合ってる状態だから
耳のすぐそばで声がするーーー
ゾクゾクする感じと
かなたの言った言葉に……
思わず涙が出た。
でもかなたから顔は見えないから
泣いてる事もバレない。
「だからさ、おれはっきり言う。
みく、おまえが好きだ。」
え…………………?
「嘘でしょ……………」
「ほんと、だよ。だから正直今日のみくの言葉、ちょっとショックだった。」
「でもかなた今日確かに女の子に酷かったよ!」
「ごめんな………そういうやり方でしか上手く表せなかった………」
そんな………
かなたが私をすき………?
「不器用過ぎでしょ……」
と思わず笑ってしまう私に
「返事。」
とまたもや遮られた。
「私もね、実は好きだったんだよ?」
その途端、抱きしめていた体が離された。
パアッと輝いた表情のかなたが一瞬にして顔を曇らす。
「おまえ………なんで泣いてんだよ……」
そう言って頬につたう涙を拭ってくれる。
「だって………かなたが相談なんてするから……私だって辛かったんだよ?」
初めてかなたに強がらず言えた気がする。
そして、その瞬間にはまたもや抱きしめられた。
さっきの優しいハグなんかじゃなくて
強く……強く………
私の存在を確かめるように…………