私の好きな人はタラシです。
「優香ちゃーん、タオルとってー?」
ねぇ、
誰にでもヘラヘラするの、いい加減やめてよ。
「佳奈ちゃーん、そこ違うよ。こうするの。」
そういって軽やかにステップを踏んでシュートを入れる。
もう。
かなたがそんな事すると周りが止まるのよ。
みんなが一斉に振り返るんだから。
バスケ部のエースで、
高身長、明るい茶色の髪で
かなりレベルの高いルックス
それで女バスの子にもヘラヘラしてるんだから
そりゃ…………モテる。
はっきり言ってタラシ。
こんな奴キライーーーーーー
「って、だからさぁなんでいつも来るわけ?」
「えーいいじゃん、幼馴染なんだからー」
実はそんな、かなたとは幼馴染で家も隣同士。
親同士が仲がいいから
部屋に帰ると勝手にいたりする。
はっきり言って迷惑ーーーーー
いちいち、私を動揺させないで………
「大体かなたってば、女バスの女の子達にヘラヘラし過ぎ。」
「何?嫉妬?」
そういって、口角を上げて意地悪く笑うかなたがムカつく。
「そんな訳ないじゃん。かなたなんてどーでもいいし。」
いきなりのかなたの発言に思わず顔を背ける。
私って、ほんと可愛くない……
少々自己嫌悪に浸っていたら
「あのさ……相談があるんだけど………?」
なんて急に真面目な顔になるから、
びっくりして動きを止める。
「な……に?」
「まあまあ、座って?」
うっ……
まだ帰ってきて立ちつくしていた私に
かなたの得意なキラキラスマイルを………
って、
何故に私にそんな笑顔向ける。
そもそもここはあたしの家だ。
座って……ってなんだ。
座って……って!
だけど私も立ち尽くしたままは流石に疲れるので、
大きなクッションを抱きしめて床に座った。
「あのさ、好きな子が全然振り向いてくれないんだけど……」
はぁ!?
恋の話!?!?
かなたが!?