つうか、よく考えてみたら兄貴には女子の方からガンガン言い寄って来るから、こんなくだらない悩み、考えたこともないんじゃね?

まったく幸せな奴。

神様って、案外、不公平じゃん.......



「ただいま。あ、宏樹、俺さ、今、お前のクラスの子、塾で受け持ってるんだ。」

「聞いた。」



バイトから帰ったらしき兄貴が、軽くブルー入ってる俺に、早速、その話題を振ってきた。



「可愛い子だね。」

「え?」

「勉強できるし、素直だし、脚もきれいだし、将来イイ女になりそう。」

「どっちが?」

「.......。」

「だから、どっちが?」

「何、ムキになってんの?」

「.......。」

「ちなみに俺が言ってるのは由里ちゃんの方なんだけど、もしかして、お前、好きなの?」