あー…やっぱりそこは俺の話聞いてたってことだよなぁ…。

「あー、良かったー!」なんて声が飛び交っているなかで、俺は一人でため息をついた。

別に諦めや落胆の意味がこもったものじゃなくて、安心と、まぁちょっとした後悔が入り混じったもの。

春輝さんがいるかどうかくらい確認しとけば良かったかもな。

「あ、青髪」

「雅人、だよ」

飛鳥さんにつっこまれ、春輝さんは言い直す。

「雅人、ありがと」

「あ、いえ、べつに…」

お礼を言われて、戸惑ってしまう自分がほんと情けない…。

でも…、仕方ないことだと思う。

なんせ、春輝さんに名前呼ばれたの初めてだしな。

それに、少しだけ…。

ほんとに少しだけだけど、春輝さんの口角があがった。

いつも無表情な春輝さんが、悲しそうだとか苦しそうだとか、それ以外の顔をみせるなんて…動揺するに決まってるだろ?