その日は雨が降っていた。

緑色が濃く色付いた木々の葉っぱから雨が滴り落ちる。



…彼女は傘も差さずに歩道を歩いていた。



見つけた時
何だ?この女。
って思った。

だけど…。

…彼女は泣いていた。

ような気がした。



雨で顔が濡れていたから断定はできないけれど…泣いてると思った。


オレは学校の帰り道で見たいテレビがあったから急いで家に帰らなきゃならなかったのに…。


思わず声をかけてしまった。


雨に濡れた彼女が何だか…とても…気になって仕方なかったから…。


「あの…。」


彼女がオレを見る。

ドキッとした。


彼女はオレよりかなり年上だと思うけど童顔っていうか…で正面から見るとカワイかった。


大きな潤んだ瞳と目が合う。


彼女は何も言わない。


オレも固まっていた。

彼女に傘を差し出したまま。