1時限目が終わった。

私は急いで直に教科書を返す。

「今日は…教科書貸してくれてありがとっ!」

なるべく平常心を保とうとしたけどダメ…。

直の顔を見るだけで声のトーンがいつも以上に高くなる。

「あぁ~別にいいって!ちさとが忘れ物すんのって久々だなー」

笑いながら言う直。

笑うと私まで笑ってしまう。




不思議だね。

彼方が笑うと私までもが

笑ってしまう。

彼方は不思議な力を

持っているかもしれないね。




キーンコーンカーンコーン…



昼ご飯の時間になった。

「ちさとー屋上で弁当食べよぉ~♪」

美晴が嬉しそうに私の方に駆けて来る。

「うんー↑今日いいお天気だしっ♪」

そう言いながら私は美晴と屋上へと向かった。

まだ肌寒い4月の風。

私は弁当のフタを開け、食べ始めた。

すると美晴が、

「ねぇ~ちさとって佐久間君のこと好きでしょー?」

唐突な質問にとまどう私。

「えっと…」

俯いた。

「好き…」

照れながらも言う私。

「そうなんだぁ~♪頑張って!!!美晴、応援するー↑」

美晴が笑顔で言った。



美晴…。

私…今でも覚えてるよ?