あの事故から早くも一週間が経っていた

あの日から毎日、一度も欠かさずに
悠くんは会いに来てくれていた。

悠くんは、私の事を気遣い、
果物を持ってきてくれたり、
ご飯を作ってきてくれたり…
たくさんの事をしてくれた。

私はとっても嬉しかった。
悠くんがそばにいてくれるだけでとっても幸せだった。

だけど…

どうしても隼人くんの事が気になって…

今も隼人くんは目を覚ましていない。
もしかしたら…って思うと、
本当に怖い。
だって、それはー…

「ひかる?」

悠くんの声で
私は我にかえった。

「どうした?大丈夫か?」

そういい、心配そうに私の顔を覗いてニコッと微笑んだ。

本当に悠くんは優しいね…
悠くんに心配かけたらだめだよね…

「何もないよ♪あ、りんご食べたいなぁー」

私はニコッと微笑み返して、
元気だよ、と伝える。

「りんごね、剥いてやる」
「ありがとう」

病室にりんごの皮を剥いている音が響き渡る。

悠くんは、
りんごを剥いている時は
いつも剥くのに集中して、
ずっと無言なんだ。

だけど、わたしは
私のために、りんごを剥いてくれてる。
そんな悠くんの姿を見るのが大好きだった。

「はい、出来た!」

そう言って満面の笑顔で
私にりんごを渡す。

思わず私も笑顔になる。

「ありがとう。いただきまーす」

わたしはそう言って一口りんごをかじった。

「おいひいなー?」

口をりんごいっぱいにして
もぐもぐしながら、
美味しそうにりんごを頬張る悠くん。

「おいしいね」

私も、
悠くんみたいにりんごを頬張ってるときは、隼人くんの事を忘れられる気がして、思いっきり、りんごを頬張った。

口の中いっぱいにりんごの風味と甘みが広がった。

「はは、ひかる頬張りすぎっ笑」

いつの間にかりんごを食べ終わっていた悠くんが、私がりんごを頬張ってる姿を見て、けらけらと笑っている。

「も、もう!わらわないでよー!」

私がそう言うと
悠くんは、満面の笑みで笑っていた。
私も思わず笑顔になり、
二人で笑いあっていた。

だけどー


ガラッ

病室のドアが勢いよく開いた。

そして、とても笑顔で
ナースさんが入ってきた。

「成瀬さん!松田さん、目を覚ましたよ!」