「さあ、立ち話もなんですから、むさくるしいところですが、どうぞわたしの私室にいらしてください。ルドリア様をお招きするために、先日ルイーネの菓子を取り寄せたのです」



 フシルが言って、エルマに先導して歩き出した。


エルマは慌ててその後についていく。



 去り際にちらりとカルのほうを振り返ると、リヒターとなにやら話していた。

会話までは聞こえないが、リヒターがにやにやと笑いながらなにかを言って、カルは真っ赤になってそれに反論しているようだ。

もしかしたら、先ほどカルがやらかした失敗についてからかわれているのかもしれない。



 くすりと笑って、エルマは前を向いた。

久しぶりにカルに会ったのだから、もっと話をしたいとも思ったが、まあいい。

リヒターはカルをルドリア付きの近衛にすると言っていた。

ならば、ゆっくり話す機会は必ず近いうちに訪れるだろう。