碧依さんとの初めてのキスは熱くて、周りに人がいるのを忘れてしまうくらい…甘かった…。



「帰ろっか…」



ゆっくりと唇を離して、碧依さんは言った。


私も頷いて、2人で立ち上がる。



「そう言えば……碧依さんは、“好き”って言ってくれないんですか…?」



私が聞くと、碧依さんの顔はいっきに真っ赤になった。


そっぽを向く碧依さんの顔を覗き込む。



「なんか…この短時間で変わったよな」



だって碧依さんが言ったんだよ?


言いたいことをちゃんと言った方がいいって。


どちらかと言えば、変わったのは碧依さんの方な気がするけど…。


私は更に目で訴える。



「わかった…1回だけね」



そう言うと、私の耳元に顔を寄せて



『…好きだよ』



って囁いた。


お願いしたのは私だけど…、直接言われるとやっぱり照れちゃうよ……。


顔が熱くて、そんな私を見て碧依さんが笑う。


さっきと立場が逆だね。


悔しいけど、このくすぐったい関係が好き。


今日碧依さんに会えてよかったよ…。


この関係がずっと続いていけばいいな。