やっぱりかわいいよ…。


私は笑顔で頷いた。


藤堂さんはホッとしたように息をつく。


空を見ると、雲の間から光を放つ月が見えた。


気持ちを落ち着かせてから、自分の告白を思い出して、恥ずかしくなる。


さっきまで繋いでいた手が今は寂しい…。



「あのさ…」



藤堂さんが口を開く。


私が見ると、藤堂さんは口元を手で隠してた。


首を傾げて見ていると



「名前で…呼んでもいい…?ってか、俺も名前で呼んで欲しいなぁって……」



段々赤くなっていく顔が金魚みたい。


真っ赤な顔を両手で隠して返事を待ってる。


そんなのいいに決まってるよ。



「…碧依…さん…?」



私が呼ぶと、碧依さんはバッと顔を上げて私の方を見る。


かわいすぎるよぉ…。


もう…本当に好き…。


それから小さな声で



『…優月…』



って呼ぶのが聞こえた。


恋人って感じでいいなぁ、こういうの。



碧依さんは私の後ろに手を回して、自分の方へと引き寄せた。


ゆっくりと重なる唇。


またあの甘い香り。