そこには見覚えのある長髪の女性が後ろ向いて立っていた。 僕はバレたら駄目だと思い、冷静に弁当を元の場所に置いて帰ろうとした。 「あのぉ すいません。 成くんですよねぇ」 長髪の女性が小さな声で僕に話しかけてきた。 そう僕はその女性を子供の頃から知っていた。歳が三つ違いで幼なじみの野口絵美だ。今はCMでも映画でもよく出ている人気の若手女優さんだ。 僕はあえて冷静を装って彼女にこう言った。 「いやぁ久し振りだね。絵美ちゃん」 と僕は笑顔で答えた。