屋上にきた瞬間
春の風が私の体にあたった
屋上を見渡してみると...
「えっ、あ、危ない!!」
思わず大声を出してしまった
私の目に飛び込んできた光景は
ある男子生徒がフェンスを越えて立っていた
手を離してしまえば地上に落ちてしまう
私は急いで男子生徒のほうへ駆け寄った
「何してんのよ!! は、早く降りてよ!!」
私はパニックで今にも泣いてしまいそう
男子生徒はビックリした顔をした後
静かにフェンスをまたいで私の前に立った
整った顔立ち
どこかで見たこがある
「驚かせてごめんなさい」
彼は無表情で行った
「な、なんでこんなこと... まさか...」
自殺
私の頭に過ぎった...
「死のうとしてたわけじゃないんだ」
「じゃあ、なんでこんなことを?」
「ここが天国に1番近いから...」
「えっ...」
私は思いがけない彼の言葉に体が固ってしまう
「なんてね 冗談だよ」
彼は笑顔でそう言った
彼の笑顔を見た瞬間ドキッとした
でも、その顔はどこか寂びしそう
「岩原りかさんだよね」
「えっ、そうだけど あっ、思い出した」
今思い出した
彼は中学2年生の最後のほうに転校してきた
クラスも違ったので面識がない
「名前は、確か...」
「橋本拓也」
「えっ...」
私はビックリした
私が名前を言ったら彼も自分の名前を言ったから
私と彼の声が見事に重なった
「あはは 気が合うね」
彼は笑いながら言った
「そうだね」
「あっ、何て呼べばいいかな?」
「りかでいいよ 私は?」
「拓也だから拓で よろしく りか!! 」
「よろしく 拓!!」
私たちはまた屋上会う約束をして教室に戻った
拓と別れたあと私は自分の教室に戻った
もちろん遅刻決定
廊下を走っているとおそらく私を探しに来たんだろ
数人の先生たちがうろうろしている
これはマズイ
私は階段を急いで駆け下り1階の保健室に向かった
「失礼します...」
私はノックをして恐る恐るドアを開けた
どんな仮病を使おう...
「あら、橋本くん? あっ、違った 岩原さん!!」
橋本くん?さっき橋本くんって...
まっいっか
「先生 お、お腹が...」
「お腹が痛いの?」
「は、はい...」
「じゃあ、よくなるまでベッドで寝てなさい」
先生はベッドを指さした
「わかりました」
私はベッドに移動し寝転がった
作戦は成功したみたいだ
10分ぐらいたっただろうか
先生がベッドの隣にやってきた
「ちょっと用事ができたから職員室に戻るわね
ちゃんと寝てなさいよ」
「はーい」
先生はそれだけ言い保健室を出た
静かな保健室
私は睡魔に襲われて眠りにつこうと思ったそのとき
「失礼します あれ、佐藤先生?」
保健室のドアが開き声が聞こえた
聞き覚えのある声
まさか...
私はベッドから起き上がりドアのほうを見た
「拓!!」
「りか? なんでいるの?」
やっぱり拓だ
「拓こそどうしたの?」
「いや、僕は... 」
「あっ、拓も仮病? 授業遅刻したから?」
「そ、そうなんだよ 先生たちがうろうろしててさ」
「だよね 先生なら職員室に言ったよ」
「そっか せっかくだしまた話そうか」
「うん!!」
それから私たちは授業が終わるまで話続けた
自分のこととか世間話とか
なんか、拓と話してるとすごく楽しい
なんか、幸せ
私は少しずつ拓に惹かれていった
学校が終わり家に帰宅
自分の部屋に行きベッドにうつ伏せになった
今日は長い1日だったな
「橋本拓也かぁ...」
彼の名前を言うだけでドキドキする
そっと目をつぶる
脳裏に浮かぶのは彼の整った顔立ち
彼のどこか寂しげな笑顔
思い出すだけで頬が熱くなる
これが恋なのかな...
なんか、初めての感覚
今までないようなそんな気持ち...
今日話したばかりなのに
私はそのまま眠りについた
「こ、恋!?」
「ちょ、葵声でかい」
私は次の日昨日の拓との出会いを葵に話していた
もちろんこの気持ちも...
「その子って転校してきた子でしょ?イケメンとは聞いてたけど」
「たまたま屋上に行ったらいたの 恋かはまだわからないけど」
「でも、ドキドキするんでしょ?」
「まぁ、まぁね...」
「よし! ならアタックだ!!」
「えっ、ちょっと」
葵は強引に私の腕を引っ張った
「ほら、行くよ」
葵は私の腕を引っ張りながら教室を出た
「橋本くんって何組?」
「そういえば知らないや」
「うーん... よし、直感で2組だ」
葵は私たちのクラスの隣のクラスのドアを開けた
教室には女子たちが雑談をしていた
今は昼休み
男子たちは廊下で走り回ってる
教室を見たところ拓の姿はない
「葵にりかじゃん どうしたの?」
私たちに声をかけてきたのは前同じクラスだった美穂だった
「あ、美穂 橋本くんってこのクラス?」
「うん そうだけど 今はいないね いつも授業受けてないし」
授業を受けてない...?
私は美穂の言葉に疑問を覚えた
「そうなんだ ありがとう」
私たちは教室を出た
「橋本くん、授業受けてないってどうゆうこと?」
「わかんないよ...」
「まさか、不良じゃ...」
「ないない 絶対ないよ」
一体どうゆうことなんだろう
私は1日中その言葉の意味を考えていた