昼、ガチャリという扉を開く音がした。
ここは屋上。今日は天気がいい。
「なに、」
『クソ峰さ、登校時間固定してくれない?』
「開口一番なんだよそれ...(笑)
なんで。つか無理。」
『毎日毎日私が時間をずらさなきゃならない理由を述べよ。』
「知るかボケ。無理なもんは無理。」
手をひらひらをおちゃらけたように動かして私の提案というかお願いというかを拒否する。
「つかさ、そのクソ峰っての、やめろ。」
『なに?クソ峰』
「お前の性格、本当どうにかした方がいいよ。
...まあ、初恋の奴が忘れられなくていまだに恋愛遍歴はゼロ、ってのはピュアでいいと思うけど。」
小馬鹿にしたようにそう言う青峰は、私の鼻をむぎゅ、とつまむ。
「じゃあ俺これから仕事だから。
帰り気を付けろよ、萌。」
『...いくら二人きりだからって下の名前で呼ばないで。』
「はいはい。
じゃあね、白木さん。」
『秋人なんて女の子にモテすぎ病で死んじゃえ。』
縁起でもないこと言うなよ、と眉をひそめて言った秋人は、時間を確認すると少し焦ったように「ばいばい」と言って出て行った。
私と秋人は友達でも恋人でもない。
親同士が昔から仲が良くて腐れ縁みたいなもの。
昔はよく遊んだなあ...私と秋人と、それから春くんの三人で。