「……――さ、桜……?さくらぁぁっぁぁ!!」

ようやくあたしの存在に気付くことができたのか、莉乃はボロボロと涙を流しながら必死であたしの名前を呼ぶ。

「桜……あたし怖いの……怖いの……!!――このままじゃ、黒い穴の中に……引っ張り込まれる……!!!」

「悪い夢を見たのね?」

「上ってももがいても、その穴から出られないの……。そして、最後は……穴の中から出てきた何かに……!!」

「アリ地獄の夢でも見たの……?でも、大丈夫よ。……穴の中から莉乃を引っ張る人はもう誰もいないから。あたしが全部排除してあげたから。全ては莉乃のためよ」

「……本当に……?本当なの、桜……?」

「えぇ、本当よ。だから、莉乃はもう何の心配もしなくていいの」

「あたしが頼れるのは……桜だけ……桜だけなの……!!」

莉乃は泣きながらあたしの手をギュッと握りしめる。