「莉乃……?」
「……――やめて、助けて!!」
大声で叫びハッと目を開けると、莉乃は目だけを動かして辺りを見渡した。
髪は乱れ、目の下はくぼみ、深いクマが刻まれている。
充血した目に以前のような力はなく、見開いた目からのぞく大きな黒目はしきりに左右に動く。
布団の中だというのに全身をブルブルと震わせて何かを言いたそうに唇を動かす。
「莉乃……あたしがわかる……?」
「……地獄」
「え……?なぁに?」
子供をあやす様に優しく尋ねると、莉乃はハァハァと口で息をした。
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