この計画を成功させるためには、莉乃にストーカーの正体があたしだとバレるわけにはいかなかった。

だから、たくさんの嘘もついた。

そう。あれは確か、莉乃の家へ行った時……――。

部屋へあがり、あたしは大げさに怯えて見せた。

犬のマロンを監視するカメラが動いたと嘘をついた。

莉乃を怖がらせてしまったのは心が痛かったけれど、これで五十嵐翔もストーカーの可能性があると莉乃に強く印象付けられたと思った。

でも、あの日莉乃はファミレスで意外なことを話し始めた。

『それとね、三浦君に言われたの。白石好未に気をつけろって』

『……え?三浦君がそんなことを……?』

三浦君が好未を疑っていたなんて意外だった。

だけど、その話には続きがあった。


『そう。あたしと仲の良い友達には気を付けた方がいいって言われたから、好未のこと?って聞いたんだ。そしたら、そうだって』

『莉乃と仲の良い友達って、三浦君確かにそう言っていたの?』

『うん。三浦君の感じからして、顔は知っているけど名前は知らないみたいだった』

まずい。

一瞬、顔から血の気が引くのが分かった。

三浦君が疑っているのは好未ではなく、間違いなくあたしだ。

今はあたしを『白石好未』だと思い込んでいるけれど、気付くのも時間の問題だ。

あたしは急きょ計画を急ぐことにした。