名前を呼ばれて、更衣室の方に歩いていくと
少しだけ顔を覗かせている緋依子さんが見えた。


「 何してるんすか 」

「 えっとあの… 」


なぜか顔を真っ赤にしていて、なかなか出てこない。


「 親父、呼んできましょうか 」

「 だめ!それは…だめ! 」

「 サイズ合いませんでした? 」

「 ……… 」


適当な質問を投げかけると、俯いて黙りこくってしまった。
どうやら、その反応からして図星のようだ。


「 じゃー俺、みすずさん呼んできますよ 」

「 …が ……て 」

「 え?なんですか 」

「 か、薫くんが見て! 」


顔をさっきよりもさらに林檎みたく真っ赤にして
緋依子さんは確かに、確かに俺に向かってそう言った。

俺が見るって… え!?

俺の動揺をよそに手招きをしている緋依子さん。
緊急を要するらしく、仕方なく更衣室に入ることにした。


ところが、だ。


「 …まったくもって問題ないです、よ 」

「 え、え、え!? これが?! 」


入ってすぐに緋依子さんの姿を見てみたけれど、
何ひとつおかしな点は見当たらない。

…予想以上に似合っている、というのはあるけれど。