僕が唖然としていると、唯野君は言う。
「そんなビビるコトじゃねえよ。こんな企業だ、なにが起きても仕方ねえ。」
この人はどこまで冷静で渋いんだ…。
「こういう会社こそ、特命を果たす俺に向いてるんじゃねえのかな、じゃあな。」
「え、あの!」
唯野君は背を向け、こちらを振り返らず歩いていった。
呼び止めにいく気も起こらないほどの背中、彼はどうやら独りでいるのが好きな感じだった。
僕も、他の誰かに声をかけようかな。
20名全員集まっていた。
何人かはもう交流が始まっている。
えっと、誰にしようかな。
「ねえねえ!」
ん?
その声の方に振り返ってみると、とても就職したような風に見えないブロンドにメイク満載のギャルがいた。
「あ、は、はい。」
僕は正直ギャルが苦手だったため、よそよそしく返事してみた。
すると
「きゃはははは!」
そのギャルは高らかに笑った。