私の席は一番後ろの窓側だった。
雅は、私の前の席だった。
自分の席につこうとすると、私の二つ前の席にいる男の人に、無数の女子達がたわむれていた。
じゃまくさいなぁ。
座れないじゃん。
雅と顔を合わせながらため息をついた。
「あの。そこ、私の席だから。どいてくれない。」
相手を冷たい目で見ながら言う。
当然、私の席の近くにいた人達は、
私をにらめつけるように見る。
「なにこいつ。」
「うっざ。」
そんなことを言いながら違う場所へと移動していった。
うざいのはこっちだょ。
少しイライラしながら席に座った。
「ねぇ、あんた相変わらず無愛想ね。そんなんじゃ、入学そうそう喧嘩売られるわよ」
「だって…人との接し方わかんないし。
雅といるときもこんな感じでしょ?だから、私はこれが普通なの」
「まぁねー。あんたは無愛想とゆうか、不器用だからねー。クス」
なによ…もぉ。
私って、そんなに態度悪いかなぁ?
そんな時、女子の高い声が次から次へと聞こえてきた。
「なんだろーね。私の前の席の人でしょ。っーー。顔見えない。」
雅が悔しそうに言う。
「名簿みればいいんじゃない?」
「あー!そっか!えーっと…
長谷部 修(はせべ しゅう)だってさ…ってこれって…‼︎」
ドクンっーー。
心臓が強く飛び跳ねた。
は、長谷部…修。
う、嘘…。
「おぉーぃ!自分のクラスに戻れ!
はぃはぃ、席につけ」
先生が入ってきてHRを始めた。
長谷部君…?
まさかね。そんな偶然あるわけないし。
「よしっ、じゃあ自己紹介をしてもらう。席の順番な。」
一人づつ前から自己紹介をしていく。
そして、、とうとうあの人の番になった。
「、、、長谷部、、修です。よろしく」
あ、あの顔は間違いない。長谷部君だ。
嘘…なんで??
長谷部君とは、私をふった男の子のことで、、あの日からまったく喋らなくなった。
「次‼︎おぃ!次‼︎…比野宮‼︎」
「はっはぃ!えっと…比野宮 美羽です。
よ、よろしくお願いします」
席に座り、雅がクスクス笑っている。
その先に視線を移すと、長谷部君の後ろ姿が目に入った。
長谷部君…。