放課後、教室に残って長谷部君をまっていた。
心臓の音がとてもうるさい。
どうしよう。気まずいよ…。
ガラガラーー。
長谷部君が来た。
目と目が合った瞬間に胸が締め付けられて、切なくなった。
「比野宮、俺さ…」
「今日、雨降りそうだよね、傘あるかな?」
聞きたくない。
「おぃ…」
「ほんと、クラス委員って大変だよね」
聞きたくないよ。
「おぃ…比野宮…」
「今日、課題多いよね」
嫌だ。嫌だ。
「…美羽っ‼︎」
ビクッーーー。
名前を呼ばれた瞬間、心臓が止まりそうになった。そして、涙が止まらなくなった。どうして泣いているのか、どうして…。なにもかもわからなくなった。
その時、私は長谷部君に抱きしめられた。それはとても温かくて、とても安心できて…。私の涙はまた溢れ出した。
「俺さ、比野宮のことずっと好きだ。」
「えっ…。嘘…」
「嘘じゃねーよ。お前のことがすげー好きで大切なんだ。けど、俺には今、彼女がいる…。ほんと最低だよな。ごめんな。お前を泣かすことなんて絶対にしたくねーのに…」
その声はとてと弱々しく、長谷部君の想いが心の奥まで伝わった。
でも…
「でも、なんで…?彼女がいるのに、私のことが好きなの?」
「ごめん…ちゃんとけじめつけてから話したいんだ。自分勝手でごめん」