意識が戻って数か月

結衣の意地なのかプライドなのか

車椅子を押させてくれたことは一度もない

結衣の言葉に目を見開いていると

「ね」

再度はにかみながら小首を傾げてくる

そっと口元に笑みを宿すと

「もちろん」

それだけ告げる

今の彼女に寄り添っていけるのなら

それが彼女の望みならば

なんだって叶えようと思うから

こうやって二人で笑っていたいから