「覚えてますよ。一番若い先生ですよね。私の手術してくれた人」

何回か病室に来てくれました

「ああ、そうそう、その人。鬼って呼んでいいからね、私もそう呼んでるから」

「おに…?」

「そう、鬼。角はさすがに現代に似合わないから隠してるけど、ついでにちゃっかりそこそこななりしちゃってるけど、その実態は極悪非道な鬼以外のなにものでもないの」

だから鬼って呼んであげて

「で、その鬼がね、昨日北河さんに会ったみたいでさ」

あの二人何気に気が合ってるみたいなのよね

ちゅー、と最後までいちご牛乳をすする

「あっちが北河さんの様子心配してるなら私は結衣さん担当だ、と思って」

顔出してみたんでけど

「結衣さん、前よりすごく歩けるようになってるから少し黙って魅入っちゃった」

ふわり、と笑った笑顔に思わず結衣も微笑む

「先生、お世辞はいいですよ」

「えー、お世辞じゃないよ。頑張ってる結衣さんすごくきれいだからさ」

パコ、パコ、とパックの横を開き、慎重に紙パックをつぶす