「北河さんもどうですか、飲み会」

その質問にふと智樹に視線を送ると、

にやにやと彼らしい表情をされた

「ごめん、今日は予定があるんだ」

カバンのチャックを閉めて手に持つと、

それは結構な重量があった

「そうですか。じゃあ、また今度、行きましょうね」

少し残念そうな顔をする奈々絵に軽く頷き返して、

智樹たちの輪をよけて会社を後にする

5月に入ったばかりの夜は、思った以上に温かだった



金曜の夜ともなるとどこも飲み会の会社員で混んでいた

キャッチの呼び込みの声と会社員の笑い声

周囲を見渡すと何組もの集団がいて、歩道は少し込んでいる

その中を足早に目的地まで歩く

ある程度歩くと国道に出て、先ほどまでのにぎやかさが一気に遠のく