今でもよく思い出す

あの日のことを

最後にみた彼女の笑顔も



「じゃ、来週の土曜日、忘れないでね」

「わかってるよ。ちゃんと空けておく」

念を押すように確認する結衣に苦笑しながらそっとその頭を撫でる

来週の土曜日

それは自分たちの付き合い始めた記念日

仕事で一週間は電話しかできないであろう二人は、いつも休日に行動を共にする

近くの公園を散歩したり、映画を視たり、結衣のショッピングに付き合ったり

内容はいつも違うけれど、結衣が隣に居る事実は変わらない

「でも早いね。もう二年?になるんだね、裕君と付き合い始めて」

うれしそうにはにかむ結衣は出逢ったころと変わらない

「気が付いたら就職してもう一年経つし、時間て流れるの早いね」

「そうだなー」

ホント、

そう頷いたあの時は、本当の意味で時間の流れ何て感じていなかった

そんな会話から6日後

次の日が丸二周年記念日だったあの日、突然携帯が震えた