手の中に納まっている小さな白い花
それは彼女が初めて声をかけてくれたあのスズラン
そのあと何度か話題に上っても結局スズランの花言葉を聞くことはなく、
違う話題に移ってしまって
ああ、まあ、そのうち聞けるだろ、と思い今に至る
「知らないの?って知るわけないだろうけど。スズランは幸福が帰るとか幸福の再来とかそんな意味があって、君影草ってもいうの。あとフランスでは5月1日にスズランを大切な人に送るの」
だからスズラン
少し頬を赤く染めながら北河の手に収まるスズランを指さす
「裕君、5月1日が誕生日じゃない」
「……そっか」
結衣の言葉に驚いた表情をしていた北河は、その温かさに触れてふと優しい瞳をする
手の中にあるスズランを見つめながら、
彼女が花屋で恥ずかしそうにでも優しい瞳でスズランを注文する光景を思い浮かべる
「あと、これ」
背後に回していた腕を突き出して北河の目の前に小さな箱を差し出す
それは彼女が初めて声をかけてくれたあのスズラン
そのあと何度か話題に上っても結局スズランの花言葉を聞くことはなく、
違う話題に移ってしまって
ああ、まあ、そのうち聞けるだろ、と思い今に至る
「知らないの?って知るわけないだろうけど。スズランは幸福が帰るとか幸福の再来とかそんな意味があって、君影草ってもいうの。あとフランスでは5月1日にスズランを大切な人に送るの」
だからスズラン
少し頬を赤く染めながら北河の手に収まるスズランを指さす
「裕君、5月1日が誕生日じゃない」
「……そっか」
結衣の言葉に驚いた表情をしていた北河は、その温かさに触れてふと優しい瞳をする
手の中にあるスズランを見つめながら、
彼女が花屋で恥ずかしそうにでも優しい瞳でスズランを注文する光景を思い浮かべる
「あと、これ」
背後に回していた腕を突き出して北河の目の前に小さな箱を差し出す