「そうだよ。そうやって女の子泣かして来たんだ。一番罪なタイプだよね、裕君は」

それでも繋がれた手を嬉しそうに見つめている結衣を知っていた

だから

「でも、結衣は声をかけてきてくれた」

そうだろう?

そう言って見下ろすと

まあ、ねとはにかみながら見上げてくれる

その後につながれた手を二人で握り返すのがお決まりだ

絡められた指を確かめるように

時に結衣が大きく腕を振るからその度に「いや、恥ずかしいから」と声をかけて

でも、本当はうれしかったのだ


付き合ってから初めて迎えた北河の誕生日

「はい、これ」

目の前に差し出されたのは小さなかわいらしい花束

「ええっと、ありがとう」

受け取りながらもどうリアクションしていいものやら

だって、逆ならまだしもなぜ男である自分が花束をもらわなければならない

「もうちょっと有り難がってよ。なかなかに恥ずかしいんだからね、花束買うのって」

「あ、うん。ありがとう。でも、なんでスズラン」