何度かデートを重ねた後、どちらかともなく告白し付き合い始めたある時

結衣が懐かしそうに話していた

少し恥ずかしそうにはにかみながら、でも嬉しそうに

家が近いということもあって卒業までの何か月か結衣とはいろいろなところに行った

もちろん、喧嘩もした

今思えば些細なこともあの時の自分たちには大きなことで、その度に言い合って

でも少しすると謝って仲直りして

ああ、まだまだ子供だねって笑いあった

「そういえばさ、スズランの花言葉ってなんだった?」

というかなぜその話題

二人でゆっくりと街中を歩いているときに思い出したように北河が問いかける

「ああ、あれ?あれは、まーなんというか、それ以外に言葉が浮かばなかったの」

緊張してたんだもん、仕方ないでしょ

そう言って結衣は少しむくれた様にそっぽを向く

「てか、裕君鈍すぎ。絶対他にも裕君のこと好きで、でも声かけられなかった子居るよ」

話題を変えるように言葉をつむぐ結衣に、「そうかな」と北河が天を仰ぐ