「スズラン、ありがとうございます。手入れしてもらって」

一週間前、結衣の誕生日に飾ったスズランは、週末の今日、変わらず病室に有った

少し数を減らしてはいたけれど、

ついている花はとてもきれいなままだった

「いーえ。それよりさ、何かあった?」

一瞬目を見張ってから視線を移すとブラウンの瞳と視線が合う

「どうしてですか」

「なんとなく?って言いたいとこだけど、これでも医者ですから?患者さんだけじゃなくご家族のケアだって立派な仕事よ」

「…また、一つ時が廻ったなって思ってただけですよ」

そう言った自分はうまく笑えているだろうか

「そう。ならいいけど。何かあったら気兼ねなく相談してくださいね。溜めこんでおいて良いことなんて一つもないんだからさ」

それに、と言葉をつなぐ

「北河さんね、どことなくうちの連れに似てるの。だからどうしてもわかっちゃう。ま、北河さんは私なんかにわかられてもこれっぽっちもうれしくないだろうけど」