「ちょっと、待って」



花を棺の中へ入れて、蓋がされようとした時。

私はもう一度、顔を見せてもらうように頼んだ。



本当に寝ているようにしか思えない拓海くん。

最期に彼は力を振り絞ってキスをしてくれた。





私は拓海くんの頬に手を添えてそっと冷たい唇に自分の唇を重ねた。





「ありがとう」










これが言いたかった。






後ろから啜り泣きが聞こえる。











そして棺は閉じられた。