涙我慢したら声が裏返っちゃった。でもこれでよかったの。璃乃さんだって予定がある。余計な心配させたらいけない。




震えてる指で龍くんの携帯番号を呼び出す。怒るかもしれない。口も聞いて貰えないかもしれない。でもこれが私の仕事だから……






『…ただいま電話に出られません。ご用の方は…………』







留守電だ。でもちょうど良かった。直接なんて言えないから……






「私です。明日の夜も夜勤が入ってしまいました。本当にごめんなさい。帰ったら謝ります」






それだけ言うと電話を切った。






「あ~辛い……」








休憩入らなきゃ。でも食欲なんか出ないよ………




















◆◆◆
「南さん?大丈夫?足下ふらついてるわよ。今晩も夜勤なんて本当に大丈夫なの?」
「平気です。約束ですから」







もうすぐ夜勤交替の時間。あれからずっと休みなしで働いて、ホントならもうすぐ龍くんに会えてたんだけどなぁ。あれから連絡は取ってない。もっとも院内での携帯は禁止だから留守電にしたままだ。怖くてその留守電も聞けてない。


龍くんは……きっともう別に約束を入れてる。寂しい。初めてのクリスマス。どんな甘い夜が過ごせるのか内心ドキドキしてた。いつもは私に気を使ってどんなに遅くても泊まったことはなかった。だけど今日は……ううん、考えたってしかたない。
諦めモードで引継ぎの準備をして居た時だった。









-ガチャッ-







「遅くなりましたぁ!」





息を切らしながら飛び込んで来たのは……







「え………璃乃さん!?」




なんで?シフトは連休のはず。今頃彼と一緒のはずなのに……




「璃乃さんどうして………」
「南ちゃんみずくさいよ!二連チャンで夜勤なんかやることないんだから。私が変わる。だから早く彼のとこに行きな」