「わかりました。通しつけてください」
「大丈夫?」
「婦長も家庭あるのに頑張ってらっしゃるんですから」
「あらっ、私はいいのよ。主人もどうせ仕事だし、息子も彼女と約束あるみたいだしね。ね、璃乃さん?」
「はい?」
ちょうど戻った璃乃さんはなんだかわからなくてきょとんとしている。
「なんでもないわ。クリスマスに通しで南さんに入って貰う事にしたって話し」
「通しですか!?南ちゃん!?」
ギョッとした顔の璃乃さんが私の方を見てるけど………仕方ありませんもん。
「入ります。璃乃さんも遠慮しないで休んでくださいね」
「ちょっとこっちに……」
璃乃さんに引っ張られて更衣室に連れて行かれた。
「ちょっと大丈夫なの?龍弥君と約束あるんじゃないの?なんかライトからそれとなく聞いたんだけど、妙に張り切ってたって……」
「いいんです。帰ったら謝りますから」
璃乃さんの困ってる顔を見るとなんか気を使わせてるみたいで悪くてあえて明るく振る舞ってみた。でもどうしよう……龍くん怒るかな。
『えっ、休み取れなかったの?』
「ごめんなさい」
龍くんは見てないのに電話口でぺこぺこ頭を下げる。
「どうしても入ってくれって言われてその………断れなくて」
『………そっか』
あぁ、どうしよう。すごく残念がってる。あんなに楽しみにしてくれていたのに………
「本当にごめんなさい………」
『いいって。じゃ25日の夜は帰ってこれるんだよね?』
「うん」
『イブはダメだけど、クリスマスはギリギリ間に合うじゃん。じゃそれでいこう?』
「ありがとう」
あぁ、優しい龍くん。怒らないでちゃんと解決策まで見つけてくれて…………私には勿体ないくらいいい人。